市民意識調査の郵送ハッキング【代表コラム2025/6/2】

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市民意識調査の郵送ハッキング【代表コラム2025/6/2】

暑さが気になり始める頃ですね。代表コラムです。

興味深い郵送調査票を発見した。
写真は下記のとおりである。

まず前提としてこれはおそらく(弊社オフィスのある)港区のポストに投函されたものである。おそらく郵送以外の方法でポスティングされていると思われる。(私自身は知人にもらったので詳しくはわからない。)

まずサイズが微妙である。実に中途半端だ。比較のため背景に長計3号の封筒を置いてあるが、少し違う。つまり定形郵便物の枠をはみ出している。
もっとも見た目はハガキのようだが、いわゆる葉書のサイズ(通常100mm×148mm)ではない。そのため私製はがきとも言いづらい。だが、縦横比はハガキっぽいので見慣れない違和感がある。なんとなく往復はがきのサイズである。しかし全く往復を前提としてないので郵便局的な意味で往復はがきではない。おそらく何かしらトリックがあるんだろうと思う。

そういう郵送の規格の違和感以上に、凄いと思うのは宛先を書く面(表面)に設問・選択肢を印刷してあり、調査票として機能することである。
市民アンケートでA4・12ページ等の大ボリュームに見慣れているとその割り切りの良さに清々しさを感じる。
もちろん裏面にはQRコードの印刷があり、アクセス先には4言語(日・英・簡体・韓)の画面がある。
本来QRコードの通知で終わりそうなものだが、この通知文書そのもので郵送回答することもできるこの機能性がすごい。

調査実務に携わるものとしては、印刷物からのQRコード、URL記載によるWeb調査への回答誘導はよくある方法である。ただその際に難しいのがWeb画面にたどり着くことが難しい低リテラシーの方への配慮である。主にスマホを使い慣れていない高齢者がその中心であるが、ありがたいことに比較的高齢者の方は調査に協力してくださることも多い。結果として回答するにはどうしたらよいか?という問い合わせ(主にコールセンター)などが多く発生することにつながってしまう。これは調査実施におけるちょっとしたコスト上の課題になる。
だが、そういった層に対するアプローチとしてこの大型ハガキ?方式はすこぶる良い気がする。回答を記入してもらってポストに投函していただければ調査に回答いただけるという簡便性が良い。もちろんWeb調査では4問ということはないからもっと聞いているんだろうが、ひとまず最低限基本属性とビジョンに対する想いを回答していただけるだけでも、まちの基本ビジョンに対する参加感を醸成するという意味でも十分に価値があると思う。

さて、問題はこの謎の大型ハガキを郵便局に持っていくといくらで配達されるんだろうかということだ。
後で郵便局に聞きに行ってみようと思う。

なお、物好きな方向けに私製はがきに関する内国郵便約款の該当部分をコピーしておきます。
第23条の(4)をうまく使って設問の回答箇所として使っているようにも思える。
素直に裏面に書いてもらっても良さそうだが、QRコードほかデザイン要素もすでに満載なのでそちらを避けた気持ちもわかる。

(私製葉書の規格及び様式)
第22条 当社以外の者が作成する通常葉書及び往復葉書(以下「私製葉書」といいます。)は、次に定める規格及び様式のものとしていただきます。
(1) 通常葉書は、長辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下、短辺9センチメートル以上10.7センチメートル以下の長方形の紙とし、往復葉書は、長辺18センチメートル以上21.4センチメートル以下、短辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下の長方形の紙を短辺の部分をそろえて折り目が右側(横に長く使用するものにあっては、下側)になるように折り合わせ、その上片を往信部に、その下片を返信部とし、往信部の裏面と返信部の表面とがそれぞれ内側になるようにしたものであること。
(2) 紙質及び厚さは、当社の発行するものと同等以上であること。
(3) 重量は、通常葉書にあっては2グラム以上6グラム以下、往復葉書にあっては4グラム以上12グラム以下(往信部及び返信部のそれぞれが2グラム以上6グラム以下)であること。
(4) 表面の色彩は、白色又は淡色であること。
(5) 往復葉書の返信部の表面の左上部(横に長く使用するものにあっては、右上部)には、その返信部の料金支払に充てるため、往復葉書の料金の半額相当額の郵便切手をはり付け、又は第61条(料金受取人払)第1項に規定する料金受取人払の表示をしたものであること。
(6) 表面の上部又は左側部(横に長く使用するものにあっては、右側部)の中央に、通常葉書にあっては「郵便はがき」又はこれに相当する文字を、往復葉書の往信部及び返信部にあっては「郵便往復はがき」又はこれに相当する文字を明瞭に表示したものであること。
2 私製葉書には、あて名の記載及び郵便切手の消印に支障がない程度の透かし又は浮出の文字若しくは図若しくは紋章を施すことができます。

(郵便葉書の表面に記載できる事項)
第23条 郵便葉書の表面には、第13条(郵便物のあて名記載部分に記載できる事項)の規定にかかわらず、次に掲げる事項を記載することができます。
(1) 第13条(郵便物のあて名記載部分に記載できる事項)(1)及び(2)に掲げる事項
(2) 「懸賞応募」、「選挙事務」、「住民登録」その他通信の目的又は内容を示す文字
(3) 送達上事業所に必要な注意を示す事項
(4) 通信文その他の事項(郵便葉書の下部2分の1(横に長く使用するものにあっては、左側部2分の1)以内の部分に記載していただきます。ただし、あて名及び受取人の住所又は居所の郵便番号と明確に判別できるように記載する場合にあっては、この限りでありません。)
2 私製葉書の表面には、前項に規定する事項のほか、次の事項を記載することができます。
(1) 郵便葉書の表面の記載方法に関する注意
(2) 郵便切手をはり付ける位置及び郵便料金に関する注意

参考)内国郵便約款

弊社では郵送調査も数多く扱っております。ご興味を持たれた方はぜひお問い合わせください。