2025/08/12
メタ・エボークトセットはいかにして決まるのか【代表コラム】
2025/08/12
代表コラムです。
マーケティングの世界ではエボークトセット(Evoked Set)の重要性が指摘されて久しい。簡単に言えばエボークトセットとは消費者が何かを購入する際に、最初に頭に思い浮かべるブランドや商品の集合体のこと。それが大事なことは今更私が話すまでもないことなのだが、再起つくづく思うのは、そもそも想起集合のカテゴリを想起することが大事ではないかということ。例えば、ビールのエボークトセットに入る事が大事。という事を考える少し前の段階で、「ビールを飲もう」とどうして思うのか、みたいなことに興味がある。
例えば、骨伝導イヤホン(ヘッドセット)を使っている人を電車で見かけて「いいな」と思う。その瞬間自分も試してみようかなと思うと、つい自分は家電量販店が好きなので、近所のビックカメラ今度行こうとか、あの用事のついでにヤマダデンキ行こうかなとか、家電量販店に行くことを考えてしまう。
しかしそれは私が家電量販店が好きでかつネットのなかった20世紀から使っているからそうなるわけであって、今どきのZ世代とか、AIネイテイブ世代には関係ない想起カテゴリかもしれない。実際には今どきの便利なツールの中にはオンラインでしか購入できないものも多いから、家電量販店にあるとも限らないというのも頭ではわかっている。でも実際にはつい実物を見たくなる。
同じような話で、自分にとってほとんど知らないこと、その世界の基礎的なキーワードの地図すらない場合には、物理本屋に行ってその店を見たくなる欲求が強い。あと語学や資格系の学びをしたい。と思い立ったタイミングもそうだ。まず本屋に行き、売れ筋の現物をめくりたくなる。たまたま今は都内で仕事をしてるから、近所にジュンク堂があって恵まれているから良いが、そうでなかったら少し困る。実際に地方在住だったときは都内の出張の際に本屋に通っていたような気がする。でも今はファーストコンタクトでAIに聞くのが正解なのかもしれない。などと思ったり思わなかったり。
プログラミングの初手も似たようなところがありそうだ。最近学び始めたAIコーディングなんかは、まずエージェントを立ち上げることが最初の一歩である。その際にAIのモデルが想起集合となりうる。しかし私は依然としてファイルをnewして書きたい言語の拡張子を手作業で書いてから、プログラム書いてる。もうね。全然AI想起しないよ笑。
今3つ例を上げたが、そんな想起集合の一つ手前の意思決定がどのように行われているのか。さらにその手前の意思決定。つまり本を買う前にどんな本が読みたくなるのか、語学を学びたくなるのか、どんなことに自分の時間を使いたくなるのか。そんなあたりの行動選択を巡る意思決定に関してもしまとまった学びがあれば学んでみたいものだ。最近ビールを飲みすぎて体重計が怖いので、できればビールを程々にするメタな行動選択パタンを学びたいが、どうしたらそういうことができるのだろう。マーケティングの進化論がまたれる。