躍進する令和新党の背景にある媒体シフト【代表コラム】

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躍進する令和新党の背景にある媒体シフト【代表コラム】

参政党が伸長しているという。個人的には全く期待してないが、調査屋としての感覚としては全然違和感はない。起こるべくして起きてる現象である。意外に思っているとすれば下記で書いてる<論理>の世界に意識が傾いていることに注意したほうが良いかもしれないと偉そうにも思ったりする。

しばしば彼らのことを極右と言うが、個人的には参政党やれいわ新選組のような令和に生まれた新党に、昭和のイデオロギー闘争をベースにした左右論をあてることにかなり抵抗があるので、極右とは全く思ってない。
トランプ分断やヨーロッパの変化も共通しているが、私の感じるのはどちらかというと<論理>と<直情>とか、<きれいごと>と<シビアな現実>とか、そういうタイプの対立な気がする。

その対立の背景にはメディアの媒体シフトという基本構造が存在すると考えている。奇しくも令和新党の走り出しがNHKから国民を守る党だったというのは偶然ではない。そもそも、トランプ現象にしろ令和新党の躍進にしろ、基本トレンドとして大きいのはニュースソースの中心が紙からネットに変化したことである。結果として当然ながらウソや誇張、陰謀論の類を人々が信じるようになったことが大きいんだろうと思う。いや正確に言えば既存の大手メディアの中にも極端な指向性を持っているところもあるが、ネットの多様性や自由度はそれにそんなものでは収まらないからもっと極端になる。

ネットのメディアが主食になった人々が紙や電波媒体(のビジネス構造)に依存している既存メディアを批判的に見るのはそれほど不自然なことではないし、新聞が消費税の低減税率の対象になったことはその意識にかなり決定づけたと思う。その点では既存のメディアはネットメディアの住民の大勢から見たらすでに信頼感がない。
ちょっと今の<論理>と<直情>の分断をメディアの媒体だけで説明するのは無理があるとは思うが、それでも、既存のメディアが陰謀論のおかしさを語ったり批判したところで、肝心な<直情>の世界の住人には届かない。というところが恐ろしいんだと思う。

ただ、アンケート屋さんとしてはもう少し問題意識を持っておきたいところだと自戒している。
きれいごとと言われそうだけど、社会調査法の良さは、可視化しづらい人々の意識を操作的、定量的に扱えるところにある。これは民主主義を成立させる基本テクノロジーであることはもっと知られても良い。そんな見方の中で<論理>と<直情>で分断された世界では、おそらく公社の人々の意識は少なくとも公式で固く出来てる世論調査ではかなり計量しにくくなることは必然な気がする。

昨年の米大統領選でも、ハリスが優位だと言われていたが蓋を開けたらトランプの圧勝だったわけで、そんな社会調査に包摂されない人々が出てくると、国家としての意識的存立基盤が失われるリスクに直結するから、なんとか調査法の方法論で解決できないかとあがきたい気持ちだ。

世論調査の世界はほとんど儀式的で合理的な議論を許さない伝統性を重視する世界だから、そんな簡単に切り替えができる鳩は思えないが、もう少し緩く回答が困難、非協力的な人々に対しても回答してもらえるような工夫を採用すべきではないだろうか。そういう点では調査のユニバーサルデザインがあまり議論されてないのはもったいないし、幸い令和の我々には生成AIという新しいマン・マシンインターフェースを使うことができるわけで、少しでもこの国が良くなるように新しい調査法を生み出していくことで貢献できればこんなに嬉しいことはないと思う。

もしそんな新しい調査技術や生成AIの活用に興味がある方は是非弊社に遊びに来てください!

※)アイキャッチ画像は令和7年情報通信白書のインフォグラフィックから引用