1/17,1/23,1/30,2/1の4日間、日本マーケティングリサーチ協会主催の「定性調査 分析力を養う実践講座」に参加してきました(最終日2/1は希望者のみによる追加講義)。

この講座は、定性データをどう解釈するかを学ぶ講座になっており、グループワークと個別指導による演習と講義を繰り返す形式で、特にグループワーク演習に比重が置かれていることが特徴でした。

参加者を大別すると、我々と同様に『調査会社』の人々と、調査会社に依頼する側である『メーカー』の人々という顔ぶれでした。中でも驚いたのが、メーカーの参加者が想像以上に多かったことと、メーカー自身も自主的な調査・分析を普段から相当数こなしており、更に今後も強化していく必要があるという危機感とも使命感とも思える強いモチベーションで臨んでいたことです。
我々調査会社は不要であると思わせないためにも、普段から危機感を持って、自分達のクオリティを常に高める努力をしておく必要があると感じました。

参加者を大別すると、我々と同様に『調査会社』の人々と、調査会社に依頼する側である『メーカー』の人々という顔ぶれでした。中でも驚いたのが、メーカーの参加者が想像以上に多かったことと、メーカー自身も自主的な調査・分析を普段から相当数こなしており、更に今後も強化していく必要があるという危機感とも使命感とも思える強いモチベーションで臨んでいたことです。
我々調査会社は不要であると思わせないためにも、普段から危機感を持って、自分達のクオリティを常に高める努力をしておく必要があると感じました。

セミナー1日目の午前は、主に座学が中心で、マーケティングリサーチ全般の話から、定量・定性調査の関係性、報告書の構成、そして今回のセミナーで非常に重要な『ラダリング』という手法について学びました。ラダリングとは何かを簡単に説明すると、対象者の発言を文節で区切って細かく要素分解し、それらを1つずつ丁寧に紐解いて構造化していく作業のことです。

構造化のプロセスをもう少しだけ具体的に説明すると、例えばとある商品の受容性を調べる定性調査であれば、

STEP1:
 発言内容を細かく文節で切って要素に分解

STEP2:
 分解した発言の中から商品の“機能的”ベネフィットの内容抽出

STEP3:
 その商品を使ったときの“情緒的”ベネフィットの内容抽出

STEP4:
 対象者にとってそれがどんな意味を持つかという“意味的”ベネフィットの内容抽出

STEP5:
 さらにその意味の先にはどんな深層心理(ニーズ)が隠れているかを推察

この1つずつの要素に分解して構造化をしながら、最終的なニーズを導き出すまでの様子が梯子(ラダー)を掛ける作業に似ていることから命名されました。

筆者がこのラダリングにおいて重要だと感じたことが2つありました。

1つ目は「調査対象者の発言を要約したり、発言内容を丸めたりしないこと」です。講師の方曰く、これは調査会社の人が結構やりがちだそうです。筆者自身も過去に実施した定性調査で心当たりがありました。もちろんクライアントへ最終的な報告をするにあたって、結論を要約することは必要になってきますが、この段階でそれをやってしまうのはNGです。
なぜなら要約した要素を見ただけでは“発言の真の意味”が読み取れなくなり、後から発言録に立ち戻って再確認をしなければいけないといった余計な手間がかかるからです。誤った結論を導く可能性もあります。

2つ目にラダリングは「一人の人間の価値観を構造化すること」です。1つ目の内容とも関連することではありますが、決して要約したり丸めたり、似ている人をより分けることが目的ではないという点です。あくまで「その人(調査対象者)を理解することである」という点です。
似ている人をグルーピングしたりするのは最終的な結果のときであって、ラダリングの時点で行うのは間違いです。

この分析がしっかり出来るようになってくると、最終的に調査対象者=生活者のニーズの基本軸が作れるようになります。

1日目の午後から、実際にグループワーク形式の演習が始まり、まずは手始めにAmazonの商品レビューなどの短い発言録を使ってラダリングを行いました。最初は短く簡単なものから、徐々に発言内容や調査対象者の数を増やしたものになっていきます。2日目、3日目も基本的にこの演習の繰り返しです。そこにマーケティング課題、調査目的、調査課題といった調査背景などが付与され、それらを踏まえての分析という風に少しずつステップアップしていきました。

そしてセミナー最後の総仕上げには個別クリニックが実施されました。これは事前に出題されていたお題について分析を行い、調査課題に対する自分なりの答えを出す。というものです。分析した結果を元に講師の方にマンツーマンでご指導いただきました。

筆者の場合、分析したニーズの内容についてはもう一段検討が必要とのご指導をいただいたところで、セミナーの全日程が終了しました。(この辺りは経験が必要になるところでもあるので、今後更に経験を積んで分析精度を高める必要があると強く感じました) 余談ではありますが、今回の演習を通じて非常に面白かったなと感じたことがあります。それは演習ごとに毎回グループのメンバーがシャッフルされる点です。そのため常に異なる人の意見や発想を聞くことができるのは非常に面白く、貴重な体験でした。同時に、人はそれぞれ本当に考え方や価値観が異なるものだなということを改めて実感しました。

今回、書いたこと以外にもセミナー全体を通じて、様々な発見や驚きがありました。これらを体験するには実際にセミナーに参加することが一番です。
興味がある方は是非参加してみることをお薦めします。非常に得るものが多い内容です。