データで見る宮城県・台湾人旅行客の地方分散|インバウンド消費動向調査より

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データで見る宮城県・台湾人旅行客の地方分散|インバウンド消費動向調査より

先日、弊社より観光庁「インバウンド消費動向調査」の個票データを活用したエリア別分析レポートを無料公開するプレスリリースを配信しました。

【162エリア(47都道府県・115地域DMO)のデータを公開しています】

今回公開したのは、観光庁が年4回実施している「インバウンド消費動向調査(B1調査)」の個票データをもとに、162エリア別(47都道府県+115地域DMO)に、来訪インバウンドの属性や消費特性を集計・分析したデータの一部です。 ※対象期間:2025年1月~2025年12月

「インバウンド消費動向調査」は、個票データが公開されている数少ない政府統計調査ですが、自地域のインバウンド特性を把握するのはそれなりにハードルが高く、活用が難しいという課題があります。

そこで、弊社では自治体・DMO、観光関連事業者の方々が自地域のインバウンド特性を把握しやすいよう、47都道府県別の分析レポートを3か月ごとに更新・無料公開しております。
また、115の地域DMO別レポートも申請制で無料配布しておりますので、ご関心のある方はぜひご活用ください。

ここでは、「宮城県版」のレポートの一部と、弊社で簡易集計したデータを合わせて、インバウンド消費動向調査からどんなことが読み取れるのかを簡単にご紹介します。

【宮城県の来訪インバウンドを見てみる】

1年間(2025年1月~2025年12月)に宮城県を訪れたインバウンドの国籍をみると、
1位 台湾(48.9%)
2位 香港(11.9%)
3位 中国(8.4%)
と「台湾」からの来訪者が約5割を占めていることがわかります。東北の他県でみても同様の傾向が確認できており、「台湾」は東北全体では主要市場となっていることがわかります。

次に、宮城県に来訪した台湾人旅行者は、ほかにどこの都道府県を周遊しているのかを、3か月ごとに区切って調べてみました。
その結果、この1年で周遊先に変化が見られました。具体的には前年同時期と比べて、青森県・岩手県・秋田県など、東北他県への訪問割合が上昇する一方で、千葉県・東京都の訪問割合が減少していて、“東北全体を巡る”旅行スタイルが強まっている様子がうかがえます。

【宮城県】に来訪した台湾人旅行者の周遊都道府県

こうした変化の背景には、以下の①②の要素が関わっていると考えられます。
①航空路線の変化(仙台便の就航)
既存路線では、仙台-台北(桃園)線が安定的に継続。
さらに2025年7月には、仙台-高雄線が新規就航し、台湾南部から仙台へ直接アクセスできる新たな動線が生まれました。
加えて、秋田-台北線の継続や、青森路線の拡大もあり、台湾旅行者にとって、「東京・千葉経由で東北へ行く」だけでなく、「東北へ直接入り、そのまま東北を周遊する」選択肢が広がっていることが確認できます。

②台湾市場そのものの特徴(リピーターの多さ)
台湾は、訪日リピーター率が高い市場として知られています。
実際に、宮城県に来訪した台湾人旅行者の訪日回数を集計してみると、「6回以上」日本に来訪している人が8割程度を占めています。おそらく、すでにゴールデンルート(東京・大阪・京都)を経験した層も多く、東北の自然、温泉、季節感、地方らしさを求めて来訪したとも考えられます。インバウンドの地方分散が観光事業者の大きな課題となっていますが、その観点からすると、地方分散の兆しをここで垣間見ることができるかと思います。

【宮城県】に来訪した台湾人旅行者の訪日回数  

このように、インバウンド消費動向調査を紐解いてみると、単なる来訪者数だけではなく、「誰が来ているのか」「どこを周遊しているのか」「その変化は何によって起きているのか」といった背景まで把握することもできます。
宮城県のデータからは、東北全体のインバウンド観光のあり方が今後変化していく可能性もうかがえ、非常に示唆に富む内容となっています。
2025年2月(2024年10月~2025年9月版)の記事はこちらから

【文責・S】