「何事か?」と思われてしまいそうなタイトルと写真で書き出しましたが…プロレス観戦に行った話ではありません(でも最後にちょっと書きたい)。

ビジネスセミナーに参加しました、という話です。

少し前(2月13日)のことですが、日本経済新聞社東京本社Space NIOで開催された新日本プロレス×日経電子版タッグセミナー「メイ社長が語る日本企業のグローバル戦略の秘訣」に参加しました。

講演者のハロルド G メイ氏は、現在新日本プロレスリング株式会社の代表取締役社長兼最高経営責任者。満員御礼の会場をぐるっと見回すと、ベテランなビジネスパーソン然とした元プロレス少年達が大勢。客入れ中、もとい、セミナー開始前には新日本プロレス選手入場テーマ曲がずっと流れ、ビジネスセミナーらしからぬ静かな熱気が醸成されていましたが、冒頭にメイ氏ご本人が“プロレスの話はしません”と宣言された通り、講演のテーマは「日本企業のグローバル戦略における10の秘訣」というもの。
2018年6月に新日本プロレス社長に就任する前:ハイネケンジャパン、日本リーバ、サンスター、日本コカ・コーラでマーケティング・ブランドマネージメントに携わりタカラトミーでは社長として業績回復を果たしたという数多の経験と実績に基づく、海外進出を成功させるための組織づくり・取り組み方について具体的な教示が並ぶセミナーでした。

セミナー後にスタッフの方に伺ったところ、スライドの写真や「10の秘訣」すべてでなければ“ブログにでもSNSにでも、どんどん書いてください”とお許し頂けましたので、最初の3つについて印象に残った箇所を少しだけ:

その1.  使命感(目指す方向)を関係者全員に説明できること
グローバル市場へ進出するのは「なぜ?」「どうやって?」「その結果は?」…自社が向かうべき方向を企業を構成する社員・投資家など関係者と共有し、全員で同じ方向に向かえるよう、やる気を引き出すようするため、簡潔に実証・説明できることが重要。

その2. 日本企業の誇りを持て
高齢化・労働人口減少により日本市場は縮小しつつあるが、「日本ブランド」はダメになっていない。多くの国・地域で、日本は「訪問したい国」上位に挙がっており、「日本製品」はいまだポジティブなイメージを維持している。海外進出に際して各国の消費者に適合させようと過度なローカライズを施して、「本物」とは異なるものにしてはいけない。
(一方で各国の法令遵守・社会規範への意識は肝要)

その3. いちばん大きな市場をいきなり狙うな
アメリカや中国など市場規模が巨大な国においては、競合も巨大で手強い。いきなり最大の市場ではなく、他エリアの小さな市場で「成功事例」を作り、その良い実績・経験を武器にすることで、巨大市場での勝負が可能になる。

…と、メイ社長のときどきウィット溢れるジョークを交えながら自信に溢れていた語り口調を思い出しながら書き出していったら面白くなって、全部を書き出してしまいそうですが、ここまで。

私はリサーチャーであって経営者でも海外市場を狙う企業の社員でもないのですが、視座を高めるようなファンタスティカな刺激を受けました。
海外進出という目標の共有は、組織全体の求心力を高めることに繋がっている。海外市場という未経験領域への挑戦は、社員からリスクを恐れない創造力を引き出すことで可能になる。海外市場という未知の世界では、強い企業ブランドを構築して信頼を得られるかどうかが成否に関わる。等々…


“プロレスの話はしません”と宣言されたセミナーでしたが、セミナー後のグリーティング・名刺交換会では「新日本プロレスのメイ社長」として気さくに気配り細やかに参加者に接する姿がたいへん印象的でした。

最近、プロレスファンの配偶者と一緒に新日本プロレスの試合を観に行ったら、男性ばかりだろうと想像していた観客席が、小学生くらいのお子さんを連れた家族連れ・お気に入り選手を模したぬいぐるみを抱えた女性ファン・そして様々な国からはるばる日本を目指してやって来たと思しき海外ファンで埋めつくされていて驚きました。いまや「日本のプロレス」は日本全国のみならず世界中からお客さんを惹き寄せている。
本気で体を張った日本のスポーツエンターテイメントが、本気でグローバルに勝負している現場を目の当たりにしました。

※上の画像はその時に筆者が撮影したもの
華やかで楽しい世界でした

石田ゆき子