2025/06/10
富士通はATMから撤退するがスウェーデンでは現金回帰する【代表コラム】
2025/06/10
国際ニュースをぼんやり見てたらスウェーデンで一部必需品の現金利用の義務化法案が可決されるかもしれないというので驚いた。
見てたニュースはNHKのキャッチなのでWebのリンクはないのだが、類似の報道を検索すると下記のようなものが出てくる。
Sweden Went Cashless. Now It Is Telling Citizens to Keep Cash Ready
Back to cash: life without money in your pocket is not the utopia Sweden hoped | E-commerce | The Guardian
少し古いが日本語だと下記のようなニュース。
キャッシュレス化で減った現金決済、スウェーデンが維持検討 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
一方で、キャッシュレス化に遅れているという日本では富士通でATMから撤退というニュース。
富士通、ATM事業から撤退 キャッシュレス化の進展踏まえ – ITmedia NEWS
北ヨーロッパを巡る地政学的変化があるとはいえ、一周回って現金が使える社会が良いということになるのか??全てが電子化されたトランザクションは少し社会的リスクが有るということなのか。
オフィス近くのランチスポットでも、通信障害でカード使用不可と書いてあった気がする。昨年の紙幣切り替えに伴い現金の取り扱いを停止した飲食店も多いようだから、仮にネットや決済インフラが止まったらたしかに惨事である。
決して落とせない決済インフラはメンテナンスも大変だしコストも掛かる一方だ。
やはり現金に戻るべきとは思わないが、キャッシュレス、電子化技術全般の脆弱性が社会的・政治的危機に弱いということになるのだろう。
企業や法人でも情報セキュリティは大変な問題である。特にITリテラシーが不十分になりやすい業態を中心にかなり深刻な課題になる。いや日本を代表する動画サービスの会社でもランサムウェアの被害が出たので決してリテラシーの問題に既着させてはいけないのだろう。
そういえば、オンライン証券口座の乗っ取りも話題になっていたのだった。ワンタイムパスワードすら突破されるというから恐ろしい。もちろんこれはユーザ側が偽サイトと見抜けずにワンタイムパスワードをWeb技術の観点からはいくらドメイン保持者の認証を信頼したところで、ユーザが偽サイトかどうかを判定する部分はかなり不安がある(というか無理)なので仕方ないのかもしれない。
自分ならどうするか問われたら、物理レイヤーレベルで信頼を担保するぐらいしか思いつかない。ただ標準的なキャリアのUI/UXを考えると、なかなか難しいなという気がする。アップルのスティーブを見るまでもなく、いいデザイン/UXを実現するには、組織哲学とポリシーが大事だと思う。ただ日本の代表的な会社にありがちな日本人のガバナンス感とミスマッチな印象である。
多分北欧でキャッシュレスが進んだのも、あまり大げさに使えない人のことを気にせずできるところから進めていくというある程度の割り切りがなければ進まないとおもう。一方で日本では「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」というのがデジタル庁のミッションであるからして、そういう革新にスピード感を持って対応していくということは難しいのだろう。