2025/07/31
マーケティングにおける「決定の本質」【代表コラム】
2025/07/25
先般、弊社が調査に携わりました美容センサス2025年上期(ホットペッパービューティーアカデミー)がリリースされました。
「美容センサス調査(上期)」は、全国の15~69歳の男女1万3,200人を対象に、美容サロン(美容室・理容室・エステサロン・リラクゼーションサロン・ネイルサロン・アイビューティーサロン)の利用実態を時系列で把握する調査です。
本調査においても確認されているとおり、近年、ネイルサロン市場では目覚ましい成長が見られ、非常に注目度の高い分野となっています。
こうした市場の成長背景として、2000年以降に日本で広く普及した「ジェルネイル」の存在が大きく寄与していると考えられます(実際、本調査でも「ジェルネイル」を利用する方の割合が多いことが分かっています)。
昭和世代の中にはネイルと聞くと「マニキュア」を想起される方も多いと思いますが、「ジェルネイル」は合成樹脂でできたジェルを爪に塗って専用ライトで硬化させるもので、「マニキュア」(自然乾燥仕上げ)に比べて長持ちするというメリットがあります。
下の図表は、Googleトレンド※で「ジェルネイル」と「マニキュア」のキーワード検索をした結果です(2004年~2025年までの「ジェルネイル」と「マニキュア」の検索数推移を示しています)。
図表からは以下のようなことが確認できます。
・「ジェルネイル」「マニキュア」ともに2010年以降の検索が以前と比べて増加しており、人々のネイルへの関心の高まりがうかがえる
・2004年時点では「マニキュア」の検索数が「ジェルネイル」を上回っていたが、2010年になる前には「ジェルネイル」が「マニキュア」を逆転(一時均衡した時期もあるが、現在は完全に、「ジェルネイル」が「マニキュア」を上回っている)
比較対象として、米国での「gel nail(ジェルネイル)」「nail polish(マニキュア)」の検索数推移を同様の期間で見た結果もみると、(一概に同じ指標では比べられませんが)米国では現在も「nail polish(マニキュア)」が優勢なことが分かります。
(図表⓶:アメリカ)出典:Google トレンド
日米の比較を通してみると、日本では「ジェルネイル」が米国に比べて早く受け入れられていると捉えることができます。
日本でジェルネイルが早く浸透した背景には、日本人ならではの美意識やこだわり、そしてそれを支えるネイルサロンの存在が大きかったのではないかと考えられます。
マニキュアが主流だった時代、自宅でのセルフケアが一般的でしたが、ジェルネイルは専門的な施術が求められるため、ネイルサロンを通じて広く浸透しました。サロンで体験するジェルネイルのツヤ感や持ちの良さ、繊細な仕上がりは、多くの日本人に受け入れられ、定着を後押ししたといえます。
もちろん米国にもネイルサロンは存在しますが、日本人特有の美意識とネイルサロンのきめ細かなサービスがマッチしたことが、日本におけるジェルネイルの拡大に大きく影響したと考えられます。
ジェルネイルの認知が広がるにつれ、100円ショップやドラッグストアでもセルフ用の商品が登場し、最近ではSNSや動画サイトなどで手順を学べる環境も整ってきたことで、自宅でジェルネイルを楽しむ人も多くみられるようになりました。
とはいえ、道具の扱いやオフの手間などセルフならではの難しさもあるため、サロンでのジェルネイル施術は現在も根強く支持されています。
このように、セルフで手軽に楽しむホームケアから、サロンで受ける本格的な施術まで、ライフスタイルに応じたさまざまなネイルの楽しみ方が広がっています。さらに、男性のネイルケアやネイルアートへの関心も高まりもみられ、性別や目的を問わず多様な層がネイル市場に参加しはじめており、今後もさらなる市場の広がりが期待されます。