弊社では2021年5月に、『ダイナミックサーベイシステム』(サービスページはこちら)をリリースしました。この仕組みでは、Web調査内で回答された「自由回答」を選択肢としてそのまま利用できるため、回答者同士が意見を交換して意見を集約していくような、対話型のアンケートを実現しています。
今回は、このシステムを利用してどのような結果が得られるのか、事例をご紹介したいと思います。

事例①旅行における「新型コロナ感染症」の対策について

2020年10月に行った調査です。質問内容は以下の通りです。

  • 自由回答:あなたが「安心して旅行に出かけられそう」と思う対策や工夫には、どのようなものがありますか。3つまでお答えください。
  • 他者の意見への評価①:以下に、他の人が回答した内容が表示されます。この中で、あなたが「これはよい対策・工夫だ」と思う意見をすべてお選びください。
  • 他者の意見への評価②:以下に、他の人が回答した内容が表示されます。この中で、「すでに実施されていそう」と思う対策や工夫をすべてお選びください。

このうち、「他者の意見への評価①②」は、『他の人が書いた自由回答が10個程度ランダムに提示され、それぞれあてはまるものを複数回答で選択する』という質問になります。

ひとつの意見に対して2つの方向から評価したスコアをマップ上に示すことで、自由回答を定量的にグループ化し、解釈することができます。なお「他者の意見への評価」設問は、複数回答形式の他に各項目をマトリックスで5段階評価させることもできます。

【よい対策】と思うもの、【すでに実施されている】と思う対策、という観点で選んでもらった結果を上記のようなマップでみてみました(選択した人数÷この選択肢が提示された人数の比率をスコアとしています)。
『マスクの着用』は、【よい対策】と思うスコア、【すでに実施されている】と思うスコアの両方が高く、新型コロナ感染症の対策として、多くの人が「効果がありそう」と受け入れ、実施している対策であることがわかります。
一方、『混雑・密を避ける』は、【よい対策】スコアは比較的高いものの、【すでに実施されている】スコアは相対的に低く、『よい対策だが今一つ浸透していない・十分とはいいがたい』状態であるといえます。
さらに『手指の消毒対策』は、【よい対策】と思う以上に【すでに実施されている】が高くなっており、ある意味『やっていて当たり前』な対策であると考えられます。
また、【よい対策】【すでに実施されている】のいずれもスコアが低い意見も多くありますが、ここには「レアな意見」「突飛だが面白いアイディア」といった自由回答が現れる傾向があり、新しいアイディア創出の参考になる意見が取得できます。

 

事例②「オンラインオープンキャンパス」の不満点

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、事例①のマップには、同じような意見がいくつかプロットされています(例えば、「マスクを着用」「マスクをしっかりする」「マスク着用」や、「自家用車で行く」「自家用車で移動」「自家用車で移動する」といった意見)。こうした重複する意見を避けるために、『自分の自由回答とほぼ同じことを言っている意見をあらかじめ排除してから、評価させる』といった機能も用意しています。

事例②では、この機能を利用して、重複意見を排除した後に評価を行っています。質問内容は以下の通りです。

  • 自由回答:あなたが参加したオンラインで行われるオープンキャンパスなどのイベントで、「物足りなかった」「今一つだった」と思ったのはどんな点でしたか。
  • 重複意見の排除:他の人の回答が表示されます。あなたの回答した内容と似ていると思う回答をすべて選んでください。
  • 他者の意見への評価①:他の人の回答が表示されます。この中から、「自分や知り合いも同じような経験をした」「よくあることだと思う」ものをすべて選んでください。
  • 他者の意見への評価②:他の人の回答が表示されます。この中から、「これは物足りないと思う」「今一つだと思う」ものをすべて選んでください。

重複する意見を排除することで、評価される意見が集約され、結果がよりすっきりとみられるようになります。

オンラインオープンキャンパスの評価としては、現地で雰囲気を味わえなかったことについて【よくあることだ】と思い【物足りない】とも感じています。
続いて【よくある】スコアが高いものとして、「すべてが断片的でよく見えるので実際はどうなっているかが気になりました」などがあがっていますが、相対的に【物足りない】と思うスコアが高めとなっています。情報が断片的で「ホントのとこはどうなの?いいところだけ見せているのでは?」という疑心暗鬼が不満につながっていることが推測できます。
また、【よくある】スコアは決して高い方ではないものの、【物足りない】スコアが高いものとして、「みれない」「通信環境」などがあります。オンラインでのイベントに参加する際に、通信の不具合によってうまくアクセスできない・映像などがみられないといったケースは、出現率は高くなくても、起こった場合には不満につながりそうであることが示唆されています。

ぜひご活用ください。

5月にリリースし、『自由回答を定量的に把握でき、回答者自身も楽しんで回答できるシステム』として、商品アイディアの創出のための調査やイベント・サービスの満足度調査など、さまざまな実施事例を増やしている段階です。「このテーマで利用したら面白いのでは…」「こんな風に使ってみたい」など興味を感じられましたら、ぜひアンド・ディまでお問い合わせください。

●サービス詳細はこちらから:『ダイナミックサーベイシステム』

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