インバウンド消費動向調査で見る!市区町村別の特徴【茨城県(水戸市・つくば市)編】

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インバウンド消費動向調査で見る!市区町村別の特徴【茨城県(水戸市・つくば市)編】

弊社では、観光庁「インバウンド消費動向調査」の個票データを独自に集計し、全国47都道府県および地域DMO別のインバウンドレポート(レポート版)を四半期ごとに公開・提供しています。
このたび、レポート版に加えて、インバウンドの動向を都道府県・市町村単位で手軽に確認できる「トラベラーインサイト〈インバウンドデータ〉Web版」を公開しました。
Web版では、市区町村別*でもインバウンド動向を確認できるほか、国籍・地域、訪日回数、訪日目的、調査時期の4つの条件でデータ絞込みが可能で、地域ごとの特徴をより詳しく把握できます。どなたでもすぐに利用可能です。ぜひ皆様にご活用いただければと思います。
*サンプル数が一定基準未満の地域・区分は参考値・非表示としています。

さて、訪日旅行者の特徴は、同じ都道府県内でも市区町村によって異なります。訪問者の国籍や旅行目的、宿泊日数、消費傾向など、さまざまな違いがあり、市区町村単位で分析することで、それぞれの地域の特徴や課題が見えてきます。
今回は、市区町村別のデータを読み解く一例として、「旅行目的」に着目し、地域ごとの特徴やインバウンド施策への活用について、具体的な事例を交えて紹介していきます。

1.観光・レジャー目的以外の来訪者が多い市区町村

訪日外国人の訪日目的で大半を占めるのは「観光・レジャー」です。多くの市区町村で、訪問者の8割以上を観光・レジャー目的の訪日客が占めますが、その割合には地域差があります。以下に、この割合が高い市区町村と低い市区町村を、それぞれ上位10自治体示します。
※2025年7月〜2026年6月の1年間で回答者数が100名以上および各都道府県の県庁所在地(全142市区町村)を対象に集計した結果。集計条件の詳細は記事末尾をご参照ください

全国平均では、訪問者の85.7%が観光・レジャーを目的とする訪日客です。この割合が高い市区町村には、沖縄県の自治体が多くランクインしています。
一方、低い市区町村では、つくば市が29.4%、豊田市が37.8%と5割を下回ります。大都市近郊で、主要産業や研究開発の拠点を抱える都市が多くみられます。

訪日目的が「ビジネス」「親族・知人訪問」の訪日客の割合が高い市区町村には、「観光・レジャー」の割合が低い自治体が多くみられます。
つくば市では「ビジネス」目的が2位、「親族・知人訪問」が9位で、企業や研究機関への出張や、その地域に住む知人を訪ねて訪日旅行をするパターンが垣間見えます。
また、同じ茨城県内の水戸市でも「ビジネス」目的が9位、「親族・知人訪問」が6位と上位にあがっています。

2.同じ県内でも来訪するインバウンドの特徴はここまで違う!【水戸市 vs つくば市】

同じ都道府県内であっても、市区町村ごとに訪れる客層や動向は異なります。
ビジネス目的の訪日客が多い水戸市とつくば市について、インバウンド消費動向調査のデータをもとに、その違いや特徴を比較してみました。


水戸市はビジネス目的の訪日客に加え、東アジアを中心とした家族旅行での来訪も多く、リピーターの割合が高いことが特徴です。
既存の観光資源を生かしながら、周辺地域への周遊や滞在時間の延長を促すことが重要と考えられます。
つくば市はビジネス目的の訪日客が多く、国籍も多様です。日本ならではの食や商品への興味の高さもうかがえます。
こうした特徴から、出張中や出張前後の観光・消費需要を取り込むこと(日本ならではの食や買物、観光スポットの情報発信)や、仕事終わりにも楽しめる体験の充実などが考えられます。

次に、訪問エリアでの宿泊日数や支出についてみていきます。

水戸市・つくば市ともに、エリア内での宿泊日数が全国平均を大きく上回っています。これは、ビジネスや知人訪問を目的とした長期滞在者が平均泊数を押し上げているためと考えられます。
一方、滞在日数の長さに比べて娯楽サービス費や買物費は低調です。両市ともに、滞在中の観光や買物の機会を増やし、宿泊・飲食以外の消費につなげることが、今後の共通課題といえそうです。
例えば、水戸市では、地元の食や特産品への関心を生かし、常陸牛やあんこう料理など茨城ならではの食をきっかけに、大洗・ひたちなかへの観光や買物、常陸国ロングトレイルでのハイキングなど、周辺地域の観光資源を生かした楽しみ方の提示ができそうです。
ビジネス目的の訪日客が多いつくば市では、「日本文化」への関心が高いという特徴を踏まえ、笠間焼の陶芸体験や茶道体験など、日本ならではの伝統文化に触れられる体験や、工芸品の買物などを積極的に提案をする余地があります。

■ 3.つくば・水戸来訪者の「来訪ルート分析」から見える他エリアとの連携のヒント

「インバウンド消費動向調査」のデータを活用することで、自地域を訪れたインバウンドが訪問前後にどの地域に立ち寄っているのかを確認することもできます。

水戸市を訪れるインバウンドの直前訪問地は空港や東京都が中心ですが、直後訪問地は日光市や京都市、大阪市、福島市など、さまざまな地域に分かれています。
【考えられる方向性】
1.日光・福島など、周辺観光地からの誘客を強化する
水戸市から日光市や福島市へ向かう旅行者がいる一方、逆方向の移動は少ない状況です。これらの観光地を訪れる旅行者に水戸市の魅力を伝え、周遊ルートを提案することで、新たな誘客につながる可能性があります。
2.つくば市と連携し、東アジア以外からの誘客を図る
水戸市は東アジアからの旅行者が中心ですが、つくば市は米国やインド、ドイツなど国籍・地域が多様です。つくば市を訪れる旅行者に水戸市への立ち寄りを促すなど、県内で連携した誘客も考えられます。

つくば市は、直前・直後訪問地のいずれも空港と東京都で約8割を占めています。
【考えられる方向性】
1.東京からの日帰り観光先としての認知を高める
ビジネス目的の訪問が多い一方、観光地としては十分に認知されていない可能性があります。川越市や日光市のように、東京からの日帰り旅行先の一つとして、科学体験など独自の観光資源やアクセスの良さをアピールすることが考えられます。
2.出張などで訪れた旅行者の再訪を促す
仕事で訪れた旅行者に、家族で楽しめる科学体験や週末の観光情報を提供することで、プライベートでの再訪や、同僚・知人への推奨につなげることが考えられます。

■ 4.おわりに

今回ご紹介したように、観光庁「インバウンド消費動向調査」の個票データを活用することで、市区町村単位でもインバウンドの特徴を把握し、地域の課題や今後の施策を考えるヒントを得ることができます。
「トラベラーインサイト〈インバウンドデータ〉Web版」では、市区町村を対象に、地域に来訪したインバウンド動向を確認することができます。まずは、ご自身の地域や近隣地域を選んで、どのような特徴があるのか、ぜひご覧いただければと思います。
なお、Web版で公開しているデータは、分析できる情報の一部です。地域の課題に応じた詳細分析やデータ活用のご相談にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
トラベラーインサイト〈インバウンドデータ〉のサービス詳細はこちらからご覧いただけます。

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【データ出典】観光庁「インバウンド消費動向調査(B1調査)」個票データ(2025年7月~2026年6月)をもとに弊社集計
【集計方法】観光庁「インバウンド消費動向調査 個票データ利用の手引き」に記載された集計方法に基づき、ウェイトバック集計を実施。訪問地の実態をより適切に把握するため、独自の集計条件を設定しています
・訪問地について:訪日時・帰国時に空港を利用しただけのケースは、所在都道府県・市区町村への訪問地としてカウントしていません。
・市区町村のスコア:所属する都道府県に適用されるウェイトを用いて独自に算出しています。
・市区町村の訪問地:市区町村以外の回答(観光資源名や地域名などで回答)も所在地を特定できる場合は、該当する市区町村への訪問として可能な限り集計しています。

【文責・S】