インバウンド消費動向調査を活用しよう |国別にみる個別手配旅行者の動向:広島県の来訪者特性

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インバウンド消費動向調査を活用しよう |国別にみる個別手配旅行者の動向:広島県の来訪者特性

先日、弊社より観光庁「インバウンド消費動向調査」の個票データを活用したエリア別分析レポートを無料公開するプレスリリースを配信しました。

【162エリア(47都道府県・115地域DMO)のデータを公開しています】

今回公開したのは、観光庁が年4回実施している「インバウンド消費動向調査(B1調査)」の個票データをもとに、162エリア別(47都道府県+115地域DMO)に、来訪インバウンドの属性や消費特性を集計・分析したデータの一部です。 ※対象期間:2025年4月~2026年3月
「インバウンド消費動向調査」は、個票データが公開されている数少ない政府統計調査ですが、自地域のインバウンド特性を把握するのはそれなりにハードルが高く、活用が難しいという課題があります。
そこで、弊社では自治体・DMO、観光関連事業者の方々が自地域のインバウンド特性を把握しやすいよう、47都道府県別の分析レポートを3か月ごとに更新・無料公開しております。
また、115の地域DMO別レポートも申請制で無料配布しておりますので、ご関心のある方はぜひご活用ください。

そして今回は、ここ数年増加傾向にあるインバウンドの個人手配旅行(団体ツアー、個人旅行向けパッケージではない「個人手配の旅行」)に焦点をあててみました。

1.「個別手配」旅行者が増加傾向
まずは観光庁が公表している資料をもとに、来訪インバウンドの旅行手配方法の変化をみると、「個別手配」の旅行者はここ2年弱で増える傾向が見られています
【旅行手配方法の推移】  ※出典:インバウンド消費動向調査A1調査(観光庁公表資料より)

こうした背景には、以下のような要因があると考えられ、個別手配による旅行者が増える傾向は今後も続くと想定されます。
・団体旅行比率の高い中国市場の減速
・テクノロジーの進化による「言語・手配の壁」の低下
・リピート旅行者の増加
・バス運転手・ツアーガイド不足という供給制約

2.個別手配旅行者の特徴は? 個別手配で訪問率が上がる(下がる)都道府県は?

ここからは、訪日外客数の上位4か国(台湾・韓国・中国・米国)の個別手配旅行者の(パック旅行利用者に比べての)特徴を探ってみたいと思います。
【集計条件】主な来訪目的=観光・レジャー、日本滞在30泊以下。
      訪問県の集計では、入国・出国地点は除外しています。

◆ 2-1.個別手配の比率は、米国が圧倒的に高い
【旅行手配方法の構成比(観光・レジャー目的)】

4か国比較でみると、米国がもっとも個別手配の比率が高く94.2%。逆に近隣市場の台湾がもっとも低く79.0%。
台湾には団体ツアーの商品群と送客網が成熟していること、一方で米国は個人で旅程を組むことが前提になっていることが、この差に現れています。

◆ 2-2.個別手配の方が、泊数は長くなる
【旅行形態別 訪日旅行の平均合計泊数】

米国を除いて、個別手配旅行者の宿泊日数は長くなる傾向がみられます。
団体ツアーは日程があらかじめ固定されているため泊数が上限に張り付きますが、個別手配は旅行者判断に委ねられます。宿泊数の差はそのまま地域の宿泊収入の差になります。
ただし米国だけは逆転しています。これは米国は個別手配旅行が全体の94%であることに加え、パック旅行がそもそも「10泊前後の日本周遊商品」という長期型であることの反映と考えられ、他の3か国とはパック商品の性格がそもそも違うからと思われます

◆ 2-3.個別手配は「都市型周遊」に寄る
【パック旅行・個別旅行の訪問先比較(全インバウンド)】

個別手配が増えるなか、訪問率が上がるのは移動が完結しやすいエリア(東京、福岡、沖縄など)です。
一方、訪問率が下がる背景には大きく2つの要因が考えられます。
 ・二次交通への依存度が高い地方エリア(山梨、岐阜など)
 ・団体ツアーの「中継・宿泊地」だったエリア
   (愛知県など、個別手配化により新幹線等で素通りされる影響が大きい)

地方や中継地への誘客を進めるには、
 「二次交通の再整備」「現地発着ツアー・シャトルの商品化」
 「途中下車を促すコンテンツ開発」「スマホで手軽に予約・決済できる環境づくり」
など、「知ってもらう」だけでなく「行ける・寄りたくなる足回り」をセットで整備することが求められます

■ 3.【広島県】に訪問する個別手配旅行者に着目すると・・
ここからは、広島県を例に見てみましょう。以下はすべて、個別手配・観光目的の旅行者に限った数字です。

①米国人の訪問率がは高いが、支出額は低い
【広島県|個別手配者の訪問率、県内での支出金額】

米国人個別手配旅行者の広島県への訪問率は8位と高いが、県内での支出金額は47都道府県中40位にとどまる。
一方、台湾、韓国、中国の【広島県】訪問率は20位前後であるが、支出金額は10位台。
 ・台湾・韓国・中国は「来る人は少ないが、来たら泊まって使う」。
 ・米国は「たくさん来るが、滞在時間は短い」
同じ県が、国によって“目的地”と“通過点”に分かれています。
(補足) ちなみに米国人は全体の94%が個別手配ですが、残り6%のパック旅行者に限ると「約3割が広島を訪れる」ほど定番コースに組み込まれています。ツアー客はさらにタイトな周遊日程で動くため、こうした「通過型になりやすい」傾向を後押しする一因にもなっています。

②費目構成に、国ごとの“広島の楽しみ方”が出る
【広島県|県内での支出内訳、県内での泊数】

広島は「世界的な観光地」と一括りにされがちですが、支出内訳や泊数をみると、
 ・アジア3か国にとっては滞在型の観光地(韓国は飲食、台湾は買物、中国は体験)
 ・米国にとっては半日の巡礼地
と、まったく別の顔を持っていることが伺えます。
米国に対してはもう1泊してもらうための夜の過ごし方の提案、アジア圏には各国の旅行者が興味を持つコンテンツを重点的に訴求、など今後の提案のヒントも隠されています。

■ 4.おわりに
弊社では、今回使用したような47都道府県別の分析レポートを3か月ごとに更新し、無料で公開しています。まずは自分の地域の数字を、この観点で見てみていただければと思います。115の地域DMO別レポートも申請制で無料配布しておりますので、ご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。
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【データ出典】観光庁「インバウンド消費動向調査」個票データ(2025年4月~2026年3月)をもとに弊社集計
 ・集計対象:訪日外客数の上位4か国のインバウンド(台湾・韓国・中国・米国)
 ・集計条件:主な来訪目的=観光・レジャー、日本滞在30泊以下。訪問県の集計では、入国・出国地点は除外しています
 ※ 本文図表のn数は実際の回答者数です。集計算出した割合(%)はウェイトバックした数値のため、「実回答者n×ウェイト付き割合」は各区分の実回答者nとは一致しません 

【文責・S】