新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大に伴い、日本政府から全国の小中高校・特別支援学校に一斉休校が要請されたのは2月27日のことです。当初は春休み明けまでの予定だった休校期間は4月7日に発せられた緊急事態宣言を受けて延長され、現在は5月31日までの休校を決定した自治体が多数あります。

休校・外出自粛が長期化する中、学習の主体である高校生たちは今どのように勉強しているのか?一部の自治体・学校で取り組みが始まっているオンライン授業についてどのように捉えているのか?休校・外出自粛要請の後にやりたいことはなにか?
首都圏・東海圏・関西圏の高校生に尋ねてみました。

  • 調査方法:Web調査(マーケティングアプリケーションズ社 MApps for Survey)
  • 調査期間:2020年5月3日~2020年5月4日
  • 調査対象:以下3エリアに居住する高校1年生~3年生の男女
    首都圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)
    東海圏(岐阜・愛知・三重)
    関西圏(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)
    ※スクリーニング条件:「現在学校が休校中」に該当すること
    調査対象における出現率:96.8%
  • サンプル数:150名(エリア×学年×性別で均等割付)

高校生の休校期間中の主たる勉強方法は『学校から配られた学習課題』

【図1】休校期間中の今、どのように勉強に取り組んでいるか尋ねました。
最も多かったのは『学校から配られた学習課題』(84.7%)でした。以下『学校のオンラインでの学習支援』(34.0%)、『参考書や問題集・ドリル』(28.7%)、『学習アプリ』(26.7%)などが続きました。
『学校から配られた学習課題』はいずれのエリア・学年とも突出しており、学校から配布あるいは送付されたテキスト・プリントが主たる勉強法であることがわかります。
『学校のオンラインでの学習支援』は東海圏(46.0%)が他エリアに比べ高くなっています。(岐阜県では4月20日から全県立高校でオンライン授業形式の学習支援が実施されているという報道がありました)
首都圏では『学習アプリ』(44.0%)、『参考書や問題集・ドリル』(34.0%)が、関西圏では『塾・予備校・家庭教師のオンライン講習や映像講習』(20.0%)が他エリアに比べ高くなっています。

首都圏・東海圏・関西の高校におけるオンライン授業実施率は25% ※2020年4月末時点

【図2】学校でのオンライン授業実施状況を尋ねたところ(※調査実施はGW中なので4月末までの実施状況)、全体の24.7%が『現在実施している』と回答しました。『今後実施する予定・準備中』(34.7%)を含めると、約6割がオンライン授業の導入に取り組んでいることがわかります。
『現在実施している』の割合は、オンラインでの学習支援と同様に東海圏(34.0%)で最も高く、首都圏(26.0%)、関西圏(14.0%)とエリアによって実施率が異なります。

オンライン授業で使用するツール上位は『Zoom』『Google Classroom』

【図3】オンライン授業を「現在実施している(以下、実施校)」または「今後実施する予定・準備中(以下、実施予定校)」と回答した高校生に、授業で使用する・使用予定のツールは何かを尋ねたところ、『Zoom』(39.3%)が最も高く、以下『Google Classroom』(21.3%)、『YouTube』(18.0%)、『Classi』(16.9%)などが続きました。
なお、『その他』には「iTunes U」「Google Meet」「スタディサプリ」が挙がりました。

『Zoom』は、オンライン授業実施校/実施予定校どちらでもトップでした。感染症対策でリモートワーク・在宅勤務に移行する企業の多くで導入が進んでいるというZoomですが(かく書く我らアンド・ディもその中の1社です)、高校でも高い支持を得ているという結果となりました。
このほか、実施校ではZoomと同じWeb会議システムの「WebEX」(16.2%)が実施予定校に比べ高めですが、実施予定校では学校ICTプラットフォームである「Classi」(19.2%)、「ロイロノート」(11.5%)の割合が実施校に比べ高くなっています。
今後は、教育支援に特化したアプリ・ツールを併用しながら導入する学校が増えていくのではないでしょうか。

オンライン授業を受けるために使用する端末は『スマートフォン』が最多

【図4】さらに、オンライン実施校/実施予定校の高校生に自宅で使用している・使用できる端末を尋ねたところ、『スマートフォン』(68.5%)が最も高く過半数に達しました。以下『ノートパソコン』(38.2%)、『タブレット』(33.7%)、『デスクトップパソコン』(10.1%)が続きます。
※本アンケートの調査方法がWeb調査ですので、『使用できる端末はない』は出現しませんでした。

オンライン授業のイメージは『自宅で学校の授業を受けられる』
一方で『授業にアクセスできない、通信が不安定』『カメラで自分や自宅を写したくない』心配・抵抗感も

【図5】オンライン授業についてどのようなイメージがあるか、オンライン授業の実施・非実施を問わず全員に尋ねたところ、『自宅で学校の授業を受けられる』(72.7%)良い・良さそうなイメージが過半数に達しました。以下、『授業にアクセスできない、通信が不安定』(38.7%)、『カメラで自分や自宅を写したくない』(36.7%)、『先生の声が聞こえづらい』(28.0%)、『自分のペースで勉強できる』(27.3%)、『学校に行って授業を受けたい』(21.3%)が続きました。
『自宅で学校の授業を受けられる』というイメージは、実施校の高校生で81.1%と、導入が進んでいる高校ほどメリット感が高くなっています。
一方、『授業にアクセスできない・通信が不安定』は非実施校の高校生で47.5%と半数近く、授業実施で起こるトラブルへの懸念が強くなっています。

ただし、実施校では『自宅にインターネット回線・Wi-Fi回線がないから授業を受けられない』が24.3%います。全生徒の家庭がオンライン授業を受けるため十分な通信容量・速度のネット環境を備えているわけではないようです。

休校・外出自粛中のいま、高校生の勉強場所は『自分の部屋』
学校・街ナカでの勉強機会は激減

【図6】休校・外出自粛の前、授業を受ける以外の勉強場所は『自分の部屋』(72.7%)が最多でした。以下、学校の『教室(空き教室)』(37.3%)、自宅の『リビング・ダイニング』(34.7%)、学校の『図書室・自習室』(20.0%)などが続きます。
勉強場所は自宅(自分の部屋、リビング・ダイニング、親の部屋・書斎)が過半数を占めていますが、学校・街ナカの割合もそれぞれ合計すると全体の半数近くに達します。
特に首都圏では、学校の『図書室・自習室』、街ナカの『カフェ・ファストフード店』『図書館』『ファミレス』の割合が他エリアに比べ高く、ノマド的にさまざまな場所で勉強する高校生の存在がうかがわれます。

休校・外出自粛の今の勉強場所は、当然の結果ですが自宅の『自分の部屋』(80.7%)、『リビング・ダイニング』(38.0%)に集中しています。
休校・外出自粛の前→今の変化をオンライン授業実施状況別にみると、実施校の高校生は休校前に比べ『自分の部屋』が大きく増加(67.6%→86.5%)し、『親の部屋・書斎』が減少(13.5%→2.7%)しています。オンライン授業には、自分の部屋から参加している高校生が多いのではないでしょうか。

休校・外出自粛が終わったら『友達と会いたい・遊びたい』
オンラインよりもリアルで会いたい・話したい

【図7】休校・外出自粛の期間が終わったらやりたいことは何か、自由に書いてもらいました。書かれている内容を分類して集計した結果は以下の通りです。

1位『友達と会いたい・遊びたい』(27.3%)
“高校生になってまだ誰とも話したことがないから友達を作りたい!!
中学の友達や新しく出来た友達と遊びに行きたい!! ”
“友達と一緒に久しぶりに遊びたい。ご飯を一緒に食べて笑いあいたい。”
2位『遊びに行きたい、でかけたい。』(12.7%)
“街に出たい!”
“外で遊びたい”
3位『ショッピングをしたい』(10.0%)
“タピオカが飲みたい。…中略… 雑誌を買いたい。メイク道具を買いたい。”
“都市圏の大型ショッピングモールで買い物。”

オンライン授業実施校の高校生は、『友達と会いたい、友達と遊びたい』(43.2%)、『学校に行きたい、授業を受けたい』(16.2%)という趣旨の回答が実施予定校・非実施校に比べ多く挙がりました。オンラインで授業を受け、同級生とも接することで“会いたい”・“行きたい”気持ちが高まっているようです。

「9月入学・新学期制度」について、首都圏・東海圏・関西の高校生の53%が『賛成』
学年が上がるほど『反対』『わからない』が多い

ゴールデンウィークならぬ我慢ウィークが終わり、一部の地域では学校再開がされたとの報道もありますが、本調査対象エリアの首都圏・東海圏・関西圏では5月31日まで休校は延期が決定しています。休校が長期化する中、入学・進級の時期を4月から9月にずらす「9月入学・新学期制度」を求める現役高校生らのTwitter投稿をきっかけに、その是非を巡り賛否両論の議論が拡がっています。

本調査の対象者に「9月入学・新学期」に賛成か反対か尋ねたところ、全体で『賛成』が53.3%、『反対』が30.0%、『わからない』が16.7%という結果でした。
エリアでは『賛成』は首都圏(62.0%)、東海圏(54.0%)では半数を超えていますが、関西圏では『賛成』(44.0%)と『反対』(40.0%)が拮抗しています。
また、『賛成』の割合は高校1年生(62.0%)で最も高く、進路検討や受験勉強・就職活動を控えている高校2~3年生においては『反対』または『わからない』が高く賛否が分かれる結果となりました。

 

まったく私事ですが、週末に女子校の杖道部(中高の部活として関東地方でひとつしか存在しない珍しい存在です:興味あったら検索してみてください)で部活動指導員をしている筆者にとっても、学校の休校期間長期化は他人事ではありません。休校・外出自粛の期間が終わったらやりたいことで『部活動をしたい』が全体の5.3%とディズニーランド・遊園地への望郷よりも低いという結果はちょっとショックでした…いいえ、もとい。学校が再開されて、いずれ部活動が可能になったら、思い存分にやりたいことをできることを生徒達と謳歌してやろうと決意するのでありました。

今回は高校生にアンケートを実施しましたが、先生方にも学校再開後のタイミングでコロナウイルス感染症をきっかけに変わった学校の風景について尋ねてみたいと考えています。