緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症について、今なお毎日さまざまな情報が飛び交っています。
テレビ・新聞・インターネット・友人知人・勤務先など、あらゆる場・機会を通じて、国内外で日々変わる情勢についてほぼリアルタイムと感じられるスピードで詳細な情報を得ることができています。

それと同時に、インフォデミック(Information+Epidemic)と呼ばれる、正しい情報とともに噂やデマといった不正確な情報も大量に拡散することによって不安や恐怖が煽られ、信頼するべき情報を見極められなくなる現象にもしばしば遭遇しています。
例えば、今年2~3月に起きたトイレットペーパーの買い占め・在庫切れは、“トイレットペーパーの原料は中国からの輸入に依存しており、今後は品薄になる”という誤情報がSNSから拡散したことが発端といわれています。
WHOが2月2日に発表した新型コロナウイルスに関する日報では、“インフォデミックの危険性”について警告が発せられていました。WHO事務局長が新型コロナウイルス感染症について“パンデミックとみなせる”と発表したのは、3月11日のことですから、感染症の拡大よりも、情報拡散の勢いとその危うさに関する警鐘のほうが先に鳴らされていたのです。

巷に溢れる新型コロナウイルス感染症に関する情報の中から、信頼できる情報をどのように見極めているのか?
ずばり、弊社メンバーに近しい方々に尋ねてみました。

  • 調査方法:Web調査(マクロミル社Questantを使用)
  • 調査期間:2020年4月28日~2020年5月8日
  • 調査対象:弊社メンバーSNSを通じて機縁式にURLを共有し回収
  • サンプル数:75名

日常よく見る・使う情報源は『インターネットのニュース・情報サイト』『テレビ』
ほぼ全員が、日常的にインターネット上に流れる情報に触れている

【図1】日ごろ情報源にしているものは何か尋ねました。
最も多かったのは『インターネットのニュース・情報サイト』(98.7%)でした。
以下『テレビ』(80.0%)、『Facebook』(53.3%)、『Twitter』(45.3%)、『友人・知人・同僚』(38.7%)などが続きました。
※本アンケートがWeb調査なので、インターネット・SNS情報源の選択肢は細かく設けて呈示しています


新型コロナウイルス(COVID-19)について信頼する情報源は『テレビ』『家族・友人知人』『行政機関(中央省庁)』
信頼感の醸成では、『インターネット・SNS』を上回る

次に、新型コロナウイルスに関する情報について信頼している情報源を5つまで書いてもらいました。

【図2-1】記述内容を分類して集計した結果は以下の通りです。
最も多く挙がったのは『テレビ』(32.0%)でした。
以下『家族・友人知人』(24.0%)、『行政機関(中央省庁)』(21.3%)、『インターネット・SNS』(18.7%)、『個人・人物』(16.0%)が続きました。
一方で、信頼している情報は『ない』という回答が17.3%ありました。


【図2-2】年代別にみると、20~30代は『行政機関(中央省庁)』(35.7%)、40代は『家族・友人知人』(31.6%)、50~60代は『テレビ』(40.5%)がそれぞれ最も多く挙がっていました。
サンプル数が少ないため比較は難しいですが、『インターネット・SNS』の相対的な順位は20~30代で最も低くなっています。
回答者のほぼ全員が日常的にインターネットを情報源としていますが、“信頼”の醸成はテレビや家族・友人知人、行政機関(中央省庁)が上回る結果となりました。
マスメディア・身近な人・国の公的組織といった、情報の発信者が誰なのか/何であるか明確であることが信頼に繋がっていることがうかがわれます。

総務省の令和元年版 情報通信白書でも、日本における各メディアへの信頼度は、10代~60代いずれの年代でも「インターネット」はマスメディアの「テレビ」「新聞」と比べて相対的に低くなっています。今回調査でも、ほぼ同様の傾向がみられます。


【図2-3】上記集計結果の内訳は以下の通りです。

  • 『テレビ』
    「NHK・NHKのニュース」(18.7%)が最多でした。
    次いで、局・番組名の記述なく「テレビ」(9.3%)、以下「NEWS ZERO」「羽鳥慎一モーニングショー」(いずれも2.7%)と、報道番組・情報番組が挙がりました。
  • 『家族・友人知人』
    「家族・配偶者」(13.3%)が最も多く、次いで「医師・医療従事者の友人」「友人・知人」(6.7%)、「Facebookの友人」(2.7%)と、生活を共にする人がより多く挙がりました。
  • 『行政機関(中央省庁)』
    「厚生労働省」(9.3%)が最も多く、次いで「官公庁(組織名記載なし)」(4.0%)でした。
    このほか、ランク外ですが「内閣府」「官邸」「外務省」「専門家委員会」などが挙がりました。
  • 『インターネット・SNS』
    「Yahoo! Japan」(5.3%)が最も多く、次いで「Twitter」(4.0%)、「ニュースサイト」「Facebook」(いずれも2.7%)が挙がりました。

【図2-4】さらに『個人・人物』については、記述回答のすべてをご紹介します。
(氏名あるいは人物の特定が可能な愛称での記述をコーディング・カウントした結果です)

新型コロナウイルス情報発信のための個人サイトを立ち上げられた「山中伸弥」氏が最も多く、海外でも“80% uncle”と紹介された厚生労働省新型コロナウイルスクラスター対策班に参画されている「西浦博」氏、Yahoo! Japanで感染症専門医として記事を書かれている「忽那賢志」氏といった、マスメディア・インターネットのどちらでも名前を目にする医師・医学研究者といった先生達と、「小池百合子」東京都知事の名前が挙がりました。
皆様、医学/政治と分野は違えど、それぞれの道での“先生”です。

「信頼する情報源」として、インターネット・SNSはテレビ、家族・友人知人、行政機関を下回っていましたが、いまやテレビのニュースや情報番組はインターネットでも配信されており、家族・友人知人との毎日のコミュニケーションはSNSを通じて行われています。行政機関の発信する情報や動向については、各省庁のホームページを閲覧すれば、テレビで報道されている以上に詳細に知ることができる場合があります。
本来、インターネット・SNSには、信頼できる・頼りになる情報が数多ある筈なのです。

しかしながら現実には、インターネット・SNSは情報が多すぎるため、信頼できる組織・人物が発信する情報を識別しづらく、どれが信頼できる情報なのか判断が難しくなっている…と、冒頭に引用した「“いま”はインフォデミックにある」という事実を改めて認識する結果となりました。

アンケートに回答いただいた皆様、アンケートへの回答を募ってくださった皆様、どうもありがとうございました。
正直、集まったサンプル数は少ないのですが、それでも世の中で“いま”起きていることについて窺い知る結果を得られました。

新型コロナウイルス感染症に関する自主調査結果

第1回 自宅でのインターネット接続環境に関する調査
第2回 「家で過ごす時間」の変化に関する調査
第3回 休校期間の勉強に関する高校生調査
第4回 2020年4月の美容に関する行動